大江・岩波沖縄戦裁判:「つくる会」側の控訴棄却

  • 2008.11.05 Wednesday
  • 16:45
沖縄戦の裁判、大江・岩波側の前面勝訴の、判決文全文が以下のサイトにUPされました。
長い、長い判決文です。
大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会のホームページ

まだ、全文を読んでいませんが、あわせて、大江健三郎氏のコメントが出ています。上記サイトから引用させていただきます。

高裁判決についてのコメント
                大 江 健三郎

 ベルリン自由大学での講義のためにベルリンに滞在しており、判決を直接聞くことができませんでした。いま、私たちの主張が認められたことを喜びます。

 私が38年前にこの『沖縄ノート』を書いたのは、日本の近代化の歴史において、沖縄の人々が荷わされた多様な犠牲を認識し、その責任をあきらかに自覚するために、でした。沖縄戦で渡嘉敷島・座間味島で七百人の島民が、軍の関与によって(私はそれを、次つぎに示された新しい証言をつうじて限りなく強制に近い関与と考えています)集団死をとげたことは、沖縄の人々の犠牲の典型です。それを本土の私らはよく記憶しているか、それを自分をふくめ同時代の日本人に問いかける仕方で、私はこの本を書きました。

 私のこの裁判に向けての基本態度は、いまも読み続けられている『沖縄ノート』を守る、という一作家のねがいです。原告側は、裁判の政治的目的を明言しています。それは「国に殉ずる死」「美しい尊厳死」と、この悲惨な犠牲を言いくるめ、ナショナルな氣運を復興させることです。

 私はそれと戦うことを、もう残り少ない人生の時、また作家としての仕事の、中心におく所存です。


短い中に、重みを感じます。

大江氏の今後のご健勝と、ご活躍をお祈りします。

あわせて、この裁判を支えたみなさまの努力に乾杯!

「沖縄戦首都圏の会」連続講座案内

  • 2008.09.07 Sunday
  • 23:16
「沖縄戦首都圏の会」からの情報を転載します。


いよいよ来週、大江・岩波沖縄戦裁判の控訴審第2回口頭弁論が、9月9日午後2時、大阪高裁にて開廷されます。

9月26日には連続講座第7回を裁判報告と沖縄の山口剛史さん(琉球大学准教授)をお招きして開催いたします。是非ご参加ください。

転送歓迎!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★9・26「沖縄戦首都圏の会」連続講座第8回>★━━━━━━

□□□沖縄戦の史実歪曲を斬る□□□

○講 師 山口剛史さん 琉球大学准教授
○日 時:2008年9月26日(金) 開始:18時30分 終了予定:21時
○場 所:文京区民センター 3A会議室 ○資料代:500円
○主 催:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
-----------------------------------------------------------------

「大江・岩波沖縄戦裁判」の原告側は、第一審敗訴後、雑誌「WiLL」臨時増刊号等で沖縄戦の史実を歪めようと盛んに喧伝しています。このような「史実歪曲」の構造や問題点などを、「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長の山口剛史さんに解説していただきます

☆沖縄戦の史実歪曲を斬る
 講師 山口剛史さん 琉球大学准教授
「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長

☆9・9大阪高裁控訴審 第2回口頭弁論報告 事務局より

○日時:2008年9月26日(金)開始:18時30分 
終了予定:21時
○資料代:500円
○場所:文京区民センター 3A会議室
 地下鉄都営三田線/大江戸線春日駅から徒歩0分(A2出口直上)
 丸の内線/南北線後楽園駅から徒歩3分 
JR総武線/水道橋駅から徒歩10分

◆予約は不要です。当日会場に直接お越しください。

--------------------------------------------------------------

◇予告◇
連続講座第9回 「オーラルヒストリーの力−住民証言から見える沖縄戦」(仮)
講師:中村政則さん(一橋大学名誉教授)
2008年10月30日(木) 18時30分 文京区民センター

-------------------------------------------------------------
主 催大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
(略称:沖縄戦首都圏の会)
連絡先:〒101−0051 千代田区神田神保町3−2 千代田区労協気付
TEL 03−3264−2905 FAX03−3264−2906
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

中野・練馬・杉並の集会案内です

  • 2008.06.21 Saturday
  • 23:34
■沖縄戦教科書問題■
検定意見撤回を求めて
ー沖縄からの声と中野・練馬・杉並での取り組みー


日本軍による「集団自決」(強制集団死)の記述は、20年間検定を通過してきた通説でした。それが今なぜ削除され変えられたのか、教科書調査官による密室での検定と不当な政治介入を許してはいけない。

■講演:山口剛史さん
 (琉球大学准教授/
 沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会事務局長)

沖縄の教科書検定意見撤回運動のこれからと
 子どもたちに沖縄戦をどう教えていくか


日時:7月6日(日) 午後4時〜7時
場所:中野桃園教会   
(中野区中野5−3−14)
参加費:500円

・質疑応答

・高橋聡さん山本ヤマさんジャズ演奏

■地域での取り組み
・中野の教育を考える草の根の会
・沖縄戦教科書検定の撤回を求める練馬の会
・杉並の教育を考えるみんなの会

主催:中野の教育を考える草の根の会



6・20 大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会1周年記念

  • 2008.06.12 Thursday
  • 16:30
いよいよ来週!

転送歓迎! ★どなたでも参加できます

教科書検定意見撤回と高裁勝訴を勝ち取るために!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆6・20 大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
──────────★ 結成1周年総会 ★───────
○日 時:2008年6月20日(金)開場:18時 開始:18時30分
○場 所:明治大学リバティタワー 地下1001教室  ○資料代:500円
○主 催:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会

 ★どなたでも参加できます
---------------------------------------------------------------


「沖縄戦首都圏の会」は昨年6月6日に結成し、一周年を迎えました。この間、多くのみなさまのご支援・ご協力により、教科書検定問題での行動や全国集会、連続講座等を実施。「岩波・大江沖縄戦裁判の第一審(大阪地裁)では全面勝訴を勝ち取ることが出来ました。原告は不当にも控訴し、この6月25日には控訴審の第1回口頭弁論は大阪高裁で行われます。また「教科書検定意見撤回」に向けてのとりくみが引き続き求められています。これからもご支援の程、よろしくお願い申し上げます。


★記念講演★  森住 卓さん(フォトジャーナリスト)

■沖縄・ヤンバルの森から、強制集団死(「集団自決」)の現場へ

新基地建設に揺れる沖縄島北部・辺野古の海、ヤンバルの森(東村・高江)など「沖縄の今」と、沖縄戦の"極限の惨劇"、強制集団死の体験者や現場をスライドショーで伝えます。

もりずみ・たかし:1951年、神奈川県生まれ。日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)会員。1994年より世界の核実験被爆者を取材、旧ソ連セミパラチンスク核実験場の取材で週刊現代ドキュメント写真大賞を受賞。99年に出版の『セミパラチンスク』(高文研)で日本ジャーナリスト会議特別賞、平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞を受賞。湾岸戦争で劣化ウラン弾による人体への影響の取材を続け、2003年のイラク戦争前後も爆撃される側の視線にたった取材を続けた。長年、「沖縄の米軍基地」を取材対象としてきたが、昨年、沖縄の現在と過去の戦争を結びつける視点から、慶良間諸島の強制集団死体験者の取材をする。

著書:『核に蝕まれる地球』(岩波書店)『私たちはいま、イラクにいます』(講談社)『イラクからの報告』(小学館)『セミパラチンスク』『イラク湾岸戦争の子どもたち』『イラク 占領と核汚染』(高文研)。

--------------------------------------------------------
○日 時:2008年6月20日(金)
 開場:18時 開始:18時30分 終了予定:21時
○資料代:500円◆予約は不要です。当日会場に直接お越しください。
○場 所:明治大学リバティタワー 地下1001教室
     明治大学駿河台キャンパスガイド
 JR中央線/総武線御茶ノ水駅から徒歩3分
 丸の内線御茶ノ水駅から徒歩5分 千代田線新御茶ノ水駅から徒歩7分
 半蔵門線/都営新宿線/都営三田線神保町駅から徒歩5分

----------------------------------------------------------

主催:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
〒101−0051 千代田区神田神保町3−2 千代田区労協気付
TEL03−3264−2905  
FAX03−3264−2906
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


========================================================

大江・岩波沖縄戦裁判大阪地裁判決についての声明

  • 2008.04.08 Tuesday
  • 00:17
大江・岩波沖縄戦裁判に関する3団体の共同声明を転載します。


-----------------------------------------

大江・岩波沖縄戦裁判大阪地裁判決についての声明

 大江健三郎氏と岩波書店が被告とされた「大江・岩波沖縄戦裁判」の判決が、渡嘉敷島で強制集団死が起こってちょうど63年目の2008年3月28日、大阪地方裁判所(民事第9部合議係・深見敏正裁判長)で言い渡された。

 判決では、座間味島の戦隊長であった原告梅澤裕氏と渡嘉敷島の戦隊長であった赤松嘉次氏の弟である原告赤松秀一氏が求めた『太平洋戦争』(故家永三郎著)及び『沖縄ノート』(大江健三郎著)の出版停止、謝罪広告の掲載、慰謝料の請求はいずれも棄却された。

 判決は、座間味島における強制集団死(集団自決)について「体験者らの体験談等は、いずれも自身の実体験に基づく話として具体性、迫真性を有するものといえ」「日本軍の兵士から米軍に捕まりそうになった場合には自決を促され、そのための手段として手榴弾を渡されたことを認めることができる」と述べ、自決用に手榴弾が渡されて使用されたと認定した。そして、梅澤氏の「陳述書」や「供述」については「信用性に疑問がある」と断じた。

 渡嘉敷島における強制集団死(集団自決)については「赤松大尉の西山(ママ、以下同じ)陣地北方の盆地への集合命令の後に発生しており」「手榴弾を持った防衛隊員が西山陣地北方の盆地へ集合している住民のもとへ赴いた行動を赤松大尉が容認したとすれば、赤松大尉が自決命令を発したことが一因ではないかと考えざるをえない」とした。そして「集団自決が発生した場所すべてに日本軍が駐屯しており、日本軍が駐屯しなかった渡嘉敷村の前島では、集団自決は発生しなかった」とも明確に判示した。また、赤松氏がスパイ容疑で住民を処刑したことも認定した。

 さらに、学説状況について、銭谷眞美文部科学省初等中等教育局長(当時)や布村幸彦審議官が「座間味島及び渡嘉敷島の集団自決について、日本軍の隊長が住民に対し自決命令を出したとするのが従来の通説であった」として、2005年度までの教科書検定を行ってきたことを指摘し、家永・大江氏が自決命令の存在を真実と信じるだけの十分な理由があったと認めた。

また梅澤・赤松氏自身による自決命令については、「伝達経路等は判然とせず」「命令それ自体まで認定することは躊躇を禁じ得ない」としながらも、詳細な事実認定にもとづき「日本軍が深く関わった」という表現で日本軍の強制性を認めたことは重要である。一部マスコミにおいて「現行教科書の歴史認識を支持する判決」と報道がなされたが、訂正後の教科書が日本軍の単なる「関与」を認めたに過ぎないという事実に照らせば、それは明らかな事実誤認である。

 このように原告らの主張はことごとく退けられており、提訴そのものが不当なものであることが明らかとなった。原告らは控訴したが、一審ですでに証拠にもとづき詳細な事実認定が行われている以上、大阪高等裁判所は、直ちに控訴棄却の判決を言い渡し、一審判決を維持すべきである。私たちは、今後、そのための運動を強化する。

 梅澤「陳述書」を根拠にして行われた文部科学省による2006年度教科書検定における検定意見は、その根拠が判決によっても否定されたのであるから直ちに撤回し、沖縄戦の「集団自決」に日本軍の命令・強制を示す記述を回復させるべきである。私たちは、文部科学省に対し、このことを強く要求する。

2008年4月4日

    沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会
    大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
    大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会




大江・岩波沖縄戦裁判 原告の訴え棄却!

  • 2008.03.28 Friday
  • 19:36
沖縄戦「集団自決」で軍の命令があったとの『沖縄ノート』の記述をめぐる訴訟の判決で、大阪地裁は、この本の著者大江健三郎氏と岩波書店を訴えていた元守備隊長らの請求を棄却しました。

昨年の「高校日本史」教科書検定で、検定理由にあげられていた裁判です。
「集団自決」の軍の関与を否定する検定が間違っていたことが、同時に認められたものといえましょう。

今日の新聞各社の報道を
「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」
がリンク集を作ってくれています。

ご覧ください。

1・22 教科書検定意見撤回を求める集会

  • 2008.01.20 Sunday
  • 20:14
■■■ 1・22 教科書検定意見撤回を求める集会     ■■■
■  〜「日本軍の強制」文科省はなぜ認めない!〜       ■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


○日時 1月22日(火) 開場18時 開会18時半 終了予定21時

○場所 文京区民センター3階 3A会議室
地下鉄 都営三田線・大江戸線春日駅から徒歩0分
丸の内線・南北線後楽園駅から徒歩3分
JR総武線水道橋駅から徒歩10分

○資料代:500円 
       ◆予約は不要です。当日会場に直接お越しください。

主催:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会

──────────────────────────────
○発言
教科書検定問題の経過報告
石山久男(歴史教育者協議会委員長)

教科書執筆者として
坂本昇(都立高校教員)

今回の訂正申請の問題点
林博史(関東学院大学教授)

学校現場から
平井美津子(大阪・中学校教員)

「大江・岩波沖縄戦裁判」結審報告
小牧薫(大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会事務局長)

「日本軍の強制」を認めない背景
俵義文(子どもと教科書全国ネット21)
──────────────────────────────

○内容
昨年12月26日、文部科学省は、沖縄戦記述に関する日本史教科書6社8点の訂正申請について、審議経過とその結果を発表しました。

その内容は、日本軍が「集団自決」を強制したという趣旨の記述はすべて削除され、文科省、検定審議会は、あくまでも検定意見は撤回しない態度を貫いています。

これに対して沖縄では早速怒りの声があがり、28日に沖縄県民大会実行委員会が決定した政府・文科省への要請書のなかでも「『集団自決』の記述の中に『旧日本軍による強制』の語句を入れるとともに、検定意見を撤回されるよう、強く要請する」
としています。「沖縄戦首都圏の会」も12月27日に文科省に改めて「検定意見撤回」を要請しました。

この集会では、検定審議会へ意見書を提出した林博史さんに、軍の強制を認めなかった訂正申請結果や意見書で主張されたことをお話しいただき、教科書執筆者、教育現場からの発言。3月に判決を控えている「大江・岩波沖縄戦裁判」の報告も行います。

ひきつづき「教科書検定意見撤回」を求める重要な集会です。ぜひ御参加下さい。
──────────────────────────────
連絡先:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
http://okinawasen.blogspot.com/
東京都千代田区神田神保町3-2 千代田区労協気付
E-MAIL okinawasen@gmail.com
TEL 03-3264-2905 FAX 03-3264-2906

沖縄タイムス社説/教科書検定審報告(下)

  • 2007.12.29 Saturday
  • 01:20
昨日に引き続き沖縄タイムスの社説「教科書検定審報告(下)」です。「土地の記憶」「国民の記憶」と社説の筆者は述べていますが、これは、記憶の共有、継承という問題は、私たちの主体のありようを問われているように思えてなりません。

教科書検定審報告(下)
  幾つもの問いが残った


社説(2007年12月28日朝刊)
[教科書検定審報告(下)]
■幾つもの問いが残った

県民大会が示したもの 
 
教科書検定をめぐる九月二十九日の県民大会で、心に残る印象深い場面があった。読谷高校の津嘉山拡大君と照屋奈津美さんが高校生を代表して演壇に立ち、検定意見に疑問を投げ掛けた時のことである。
 「沖縄戦を体験したおじぃおばぁたちが嘘をついていると言いたいのでしょうか」
 「私たちは真実を学びたい。そして、次の世代の子どもたちに真実を伝えたいのです」
 タオルを握り締め何度もうなずきながら話を聞いているおばぁ。小さい体を丸めて目頭を押さえるおばぁ。そういう姿を壇上から見て、胸が熱くなった、と津嘉山君は語っている。

 会場には親子連れや家族連れが目立った。小さな子どもが大会の意味を分かるわけではないが、大会に参加した記憶は残る。大きくなって、その大会がどういう大会であったかを自ら学び、自分なりに解釈する。これが追体験だ。そういう仕方でおじぃおばぁの戦争の記憶が子や孫の世代に継承されてきたのだと思う。

 家庭の中で沖縄戦の話になった途端、おじぃおばぁの表情が曇り、口を閉ざすことがある。実はその沈黙に触れることが沖縄戦の継承になっているのではないか。沈黙はどのような言葉よりも雄弁に、抱えている問題の真実を照らし出す。

 沖縄社会は、そのようにして戦争体験を戦後世代に語り継いできた。

 六十年を超える戦後の時間の堆積の中で継承されてきたものは、変化することはあっても簡単には崩れない。それを示したのが今回の沖縄側の取り組みだった。県民大会になぜ、あれほど多くの人たちが集まったのか。この問いをないがしろにせず、深く考え抜くことが大切だ。

 「集団自決(強制集団死)」に関する教科書の記述が一部復活したからといって、これで終わり、というわけにはいかない。検定意見が撤回されていない以上、同じ問題が再び繰り返される恐れがあるし、何よりも沖縄にとって大きな課題は、これから先、沖縄戦をどのように継承していくかという問題である。

土地の記憶・国民の記憶

 かつて沖縄に中屋幸吉という詩人がいた。米軍統治下に生きた中屋は、文学と社会運動に身を投じ、復帰前に若くして自ら死を選んだ。彼の残した言葉にこんな表現がある。

 「キミハ ソッチカラ オレヲナガメ オレハ コッチガワカラ キミタチヲ ミテイル」


 この表現の真意は分からない。本土の視線を見返す沖縄の視線のようにも感じられる。確かなことは、「キミ」と「オレ」の間に深い溝があることが自覚されていることだ。

 今回の教科書検定であらわになったのも、日本軍による強制を認めようとしない「キミ」と、史実がねじ曲げられることを憂慮する「オレ」の対立の構図だった。沖縄の戦後史は、今に至るまで、このような図式の繰り返しだった、ともいえる。

 沖縄戦における「集団自決」や「日本軍による住民殺害」の体験は、沖縄の人たちにとっては琴線に触れる「土地の記憶」であるが、「国民の記憶」と呼べるものにはなっていない。

 広島、長崎の被爆体験は「土地の記憶」であると同時に、「国民の記憶」にもなっている。だが、沖縄の地上戦体験は「土地の記憶」にはなっているが、「国民の記憶」になっているとは言い切れない。

体験の継承と普遍化を

 教科書検定のために提出した清水書院の申請図書は「なかには日本軍に集団自決を強制された人もいた」という表現だった。検定で「日本軍」「強制」という言葉にクレームがつき、「なかには集団自決に追い込まれた人々もいた」と書き改められた。
 訂正申請で「強制」という文言の復活を試みたが拒否され、結局、次のような長い文章に変わった。
 「…米軍の捕虜になって悲惨な目にあうよりは自決せよ、と教育や宣伝を受けてきた住民のなかには、日本軍の関与のもと、配布された手榴弾などを用いた集団自決に追い込まれた人々もいた」
 次代を担う学生に希望したいのは、今回の検定事例を丹念に、さまざまな角度から検証する機会をつくってほしいということである。大きな問いを引き受けることが戦争体験の継承と普遍化につながっていく。

沖縄タイムスの社説&その他の社説リンク

  • 2007.12.28 Friday
  • 00:09
今日の「沖縄タイムス」の社説です。
教科書問題は、歴史認識の問題であると同時に、日本語の問題でもあることを痛感します。
文科省は、日本の伝統云々といっていいながら、検定を通じて、日本語そのものを破壊しているのだ。

ーーーーー

沖縄タイムス 社説 12月27日社説(2007年12月27日朝刊)

[教科書検定審報告(上)]

史実をぼかす政治決着

「強制」認めず「関与」へ
 高校日本史教科書の検定問題で教科用図書検定調査審議会は、教科書会社六社から訂正申請のあった沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する記述について、渡海紀三朗文科相に審議結果を報告した。

 そこで県内のすべての高校生に質問したい。

 以下の三つの文章は(1)が原文である。その後、文部科学省や審議会の意思が働いて(2)に書き改められ、多くの県民の強い抗議を受けて教科書会社が訂正申請をした結果、(3)の記述に変わった。さて、この三つの文章は、どこがどのように変わったのか。なぜ、このような変更をしなければならなかったのか。そのねらいは何か。

 (1)「日本軍によって壕を追い出され、あるいは集団自決に追い込まれ   た住民もあった」

 (2)「日本軍に壕から追い出されたり、自決した住民もいた」

 (3)「日本軍によって壕を追い出されたり、あるいは集団自決に追い込   まれた住民もあった」

 どうだろうか。

 よくよく読み比べないと気付かないような変化なので、二度、三度とゆっくり読み直してほしい。

 (1)は「日本軍」という主語と「集団自決に追い込まれた」という述語の関係が明確だ。だが、(2)は主語と述語が切れてしまい、両者の関係があいまいになっている。

 (3)は原文とうり二つである。原文がほぼ復活したといえるが、主語と述語のつながりはやや弱くなった印象だ。

 この一連の経過を通して見え隠れするのは「できれば日本軍という主語を消したい」「日本軍と集団自決の関係をあいまいにしたい」という背後の意思である。

 検定審の結論は三点に要約される。

 第一に、検定意見を撤回していない。第二に、「日本軍によって強制された」というような軍の強制を示す表現は採用していない。第三に、日本軍によって「追い込まれた」などの軍の関与を示す記述は認められた。

 検定で消えた「強制」を「関与」という形で復活させ、この問題の決着を図ったわけだ。

沖縄戦の特徴とは何か
 九月二十九日の県民大会で決議されたのは「検定意見の撤回」と「記述復活」の二点だった。

 県民世論が検定審を動かし、ある程度の記述復活が実現したのは確かだ。
沖縄の取り組みは決して徒労に終わったわけではない。

 しかし、教科書各社が「強制」の復活を目指し前後の表現を工夫しながら訂正申請したにもかかわらず、検定審は「このままの記述では訂正は認められない」と再度の書き換えを求めた。

 なぜこれほど「強制」という言葉の使用を忌避するのか、不可解というほかない。

 検定審は訂正申請を審議するに当たって県内外の専門家八人から意見を聴いた。その中で、ある専門家は、日本軍によって住民が追い詰められたことが沖縄戦の特徴であり、日本軍の存在が決定的な役割を果たしている、と述べている。

 また、別の専門家は「『戦闘能力のないものは捕虜になる前に自決(玉砕)せよ』という方針は全軍的な作戦方針に基づくものであって、特定の部隊長がその場になって命令したか否かの次元の問題ではない」と指摘している。私たちもその通りだと思う。

 隊長命令があったかどうかという問題と、日本軍によって強制されたという問題を混同してはならない。

検定制度改革が必要だ
 沖縄からの異議申し立てに対し、「政治的な介入があってはならない」との声が上がった。だが、それを言うのであれば次の疑問にも答えてほしい。

 二〇〇五年度までは軍の強制記述が認められてきた。なぜ、今回、学説の大きな変化がないにもかかわらず、検定意見がついたのか。係争中の裁判の一方の主張を検定意見の根拠にしたのはなぜなのか。

 今回、あらわになったのは検定制度の密室性である。検定審の審議内容は非公開で、議事録も公表されていない。検定意見の詳細な内容は文書化されず、ほとんどが口頭説明だという。

 検定審は突っ込んだ議論もせずに教科書調査官の検定意見原案を通してしまった。調査官が検定審とどういう関係にあるのかもベールに包まれたままだ。

 検定制度は、透明性を確保するため抜本的に改革する必要がある。

ーーーーー

以下は、琉球新報社説

■琉球新報 社説 12月27日
教科書問題「軍強制」は明らか/検定意見は撤回すべきだ

他、全国紙の社説
■毎日新聞社説 2007年12月27日
集団自決記述 「強制」排除になお疑問が残る

■東京新聞社説 2007年12月27日付
集団自決記述 『強制』なしで伝わるか

■朝日新聞社説 2007年12月27日付
集団自決検定―学んだものは大きかった

沖縄戦記述問題関連記事リンクです

  • 2007.11.28 Wednesday
  • 00:59
その1.沖縄戦の「集団自決」への教科書検定について
     林博史さん文科省提出意見書

関東学院大の林博史さんが、今回の教科書検定問題に対して、審議会より意見書を求められ提出しました。
その内容をHPに公開されておりますので、そのアドレスを紹介いたします。
各自で、HPで確認してください。

http://www32.ocn.ne.jp/~modernh/essay99.htm
■沖縄戦の「集団自決」への教科書検定について
 文部科学省 教科用図書検定調査審議会に提出した意見書を
 公表するにあたって

                                 
その2.07.11.9 大阪地裁 出版停止事件 本人尋問 
    大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会

大阪地裁での本人尋問のメモをもとに、大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会ホームページに詳報がアップされました。
http://www.sakai.zaq.ne.jp/okinawasen/news.html

ごらんください。原告の梅澤氏、赤松氏のもの、大江さんの証言がわかります。



calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM